こんにちは、精神科で務める15年経験の管理職OTです。
現在では、児童精神科分野で発達性協調運動症の評価と支援に従事しております。
今回は「不器用・運動が苦手な子の理解と支援のハンドブック」について、現場で使ってみた経験から
この本の活用について解説していきます。
この記事は児童を支援している医療スタッフ・保育士や学校の先生など日々支援にあたっているスタッフにおすすめの記事です。
一般的にDCD(発達性協調運動症)についての親御さんや子どもを支援する保育士の方々など遊びの中
の観る視点を養う著書が多いのですが、本書は岩永先生、辻井先生らによる、エビデンスに基づいた
『なぜ不器用なのか(評価)』を根本から理解する」著書となっています。
また、ハンドブックという利便性もあり、支援の現場ですぐに参照できるサイズで根拠と方法が章ごとに解説しております。
他の支援本にはない、本書が現場スタッフ必携である「3つの理由」
- 1「気づき」から「評価(CLASP等)」へのシステム化(第3章)
子どもの動きを単なる不思議から、具体的にどうなっている様子なのかをCLASPを使用して数値化します。
CLASPは日ごろ子どもがどのような動きをしているかを観察視点でチェックしていく評価方法です。
又、CLASPはその見る視点に対して、こういう部分を見ますというポイントが解説されています
そのポイントを学校などの場面で記載されている為、イメージが付きやすいです。 - 2「CO-OPアプローチ」の実践的解説(第4章)
特に学童期の児童に関しては、課題を抽出する所から支援の立案までをステップで考える手法が
記載されています。
このCO-OPアプロ―チは、子ども自身が課題の達成目標と練習方法を一緒に考えていくという方法になります。
また、このステップの解説に関してはとても丁寧に書かれております。 - 3 ハンドブックとしての機動力
内容としては各章ごとにとても網羅的に構成しておりますが、分厚い本ではなく、
すぐに手元で開ける機動性にすぐれた著書となっております。。
point 全体的な構成について
この著書はDCDについて広い領域で意義(DCDを観る事の大切さ)を唱えています。
1・2章はDCDの概要(DCDについて)
3章はDCDの発見の仕方(評価)
4章は直接支援する方法
5章は医療にまたがるDCDの支援について
6章はDCDのあり方について
このように網羅的に章構成されており、章ごとに参照するスタッフがどの部分に悩んでいるかを簡潔させている構成となっております。その為、支援の考え方を参考にするのなら4章を参照するなど、本の最初から順序よく読まずとも、ご自身の悩まれているフェーズで読むことが可能です。
この本で、明日の「支援計画」と「合理的配慮」がこう変わる
この著書で特に参考になるのが、子どもと支援者が一緒に考えて、課題に対する目標を設定する視点です。
子どもの支援については、どうしても支援者や養育者の視点でこれが難しそうなどの課題が反映されがちです。
もちろんその視点は子どもの日常生活の改善においてはとても必要ですが、しばしば大人の視点が重点的にみられると、子どもの気持ちや意思が置き去りになる事があります。
私も臨床経験上常に気にしている点です。
その為、支援の中で子どもも気になっている、又は改善したいと思う課題の目標設定(合意形成)に
関しては、この著書のCO-OPの方法がとても役に立ちます。
いやいや、やらされる練習ではなく、子どもも自分で考えた楽しい遊び中心の課題設定を一緒に遂行していく事が設定しやすい内容となっております。
もちろん、それ以外にも何故この取り組みが必要かなどの意義を振り返る。
子どもを観る視点や評価の方法を振り返る、見ながら行っていくには、多忙な支援者も短時間で
見直すいい本だと思います。
2児の親でもある作業療法士の本音:「親」へどう説明・還元するか
子どもの親になるとどうしてもやってしまうのが、子どもの改善の結果を高く見積もってしまう。
子どもの成長に速さを求めてしまう。こういう事が度々みられます。
親としては、多忙な毎日の中で、時間を割いて支援の幅を広げています。
支援先に改善を求めている以上、結果を早く出してほしいというのは当然です。
この本における支援では、子どもの視点も反映できる事で親御さんに対して、
この段階で成長しているという事、子どもはこの視点の課題を大事にしている事を伝えやすくなります。支援のやり方を通じて、親御さんに対する子どもを観る視点の理解にもつながりやすくなります。
まとめ:『DCD 発達性協調運動症入門』を「買うべき支援者」と「不要な人」
感覚や筋力などの土台となる機能の評価はある程度把握している。また遊びのチョイスも自分なりに考えている。
しかし、そこに考えが繋がらないなど、ボトムアップ(基礎から訓練していく)やり方に迷われている方はこの著書のステップで児童が何に迷っており、何を達成するかを把握してそこから必要な課題を探していく方法が載っています。
遊びの紹介やそれに含まれている要素の紹介だけを見たいという方には、この著書はあまりおすすめしません。
この著書は、子どもの理解の構造を紹介していますので、理解の方法と理由・支援計画を個別で建てたい。という理屈を構築したい方向けの本となっております。
付録ダウンロードで明日から子どもの動きを評価する練習がすぐに出来る
最後に、この著書のメリットは購入者限定で現場で使える資料のダウンロード権限(巻末パスワード)がついています。
実は、この資料に関してはDCD(発達性協調運動症)とネットで検索すると、見本は出てくるパターン
はありますが、実際にどう使うかまでを記載している本は少ないです。
この著書を読みながら、明日からの評価をダウンロードした用紙を用いて練習する事をお勧めします。
私の経験上、評価する子どもが増えていけばいくほど、あるパターンに気づいたり、子どもの動きを観察するポイント(体の動きのどこを見る、場面の切り替えをどう見るなど)の視点がかなりついてきます。
支援者は結果を求められますが、すぐに評価や分析ができるわけではありません。
評価を通して努力を積み重ねていく事で、将来的に子どもの未来の土台を支える人材になれます。
この著書を活用し、子どもを観る視点の研鑽を積み重ねていく事をお勧めします。



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