リハビリ職が知っておくべき、地域の要「ケアマネ」の孤独と私たちの介入戦略

認知症・介護保険関連

この記事の要約

なぜ我々リハ職は「ケアマネの苦悩」を知る必要があるのか

ケアマネージャーという仕事をご存じですか?

医療や福祉の分野で働いていると一度は聞いた事があると思います。

私達リハビリの職種は、ケアマネージャーの仕事をより深く理解しなければいけません。

結論から言いますと、

地域のケアマネジャーがいなければ、地域連携は必ず崩壊します。

それは、私達医療職の患者様の退院支援や地域移行へのルートが絶たれることを意味します。

ケアマネの基本業務は多岐に渡ります。

ケアプランの作成、給付管理、各サービス事業所との連絡調整、そして家族への対応

(※詳細な業務内容については[WAM NET「ケアマネージャーの仕事ガイド」]を参照ください)。

しかし、私達リハ職が真に知るべきは、彼らの「業務内容」ではなく、彼らが現在置かれている

「構造的な孤立と葛藤」です。

データが示す「構造的孤立」の加速

現在の制度下において、ケアマネは極めて業務環境上孤立しやすい立場にあります。

沖縄県内には現在、約504件の居宅介護支援事業所が存在します。(居宅介護支援ナビ)

ここで注目すべきは、その多くが数名規模、あるいは「1人ケアマネ」の事業所であるという事実があります。

2024年の介護報酬改定以降、特定事業所加算(主任ケアマネ配置や専任要件)のハードルは上昇し、単位に応じて、算定は上がるものの、それは、ケアマネの業務の圧迫にも繋がっています。

結果として、リソースを割ける大規模法人と、地域に点在する小規模な個人事業所の二極化が決定的なものとなった。

地域の細かなニーズを拾っている小規模事業所のケアマネほど、制度的要請の中で孤立を深めているのが2026年現在の介護福祉市場のリアルです。

「孤軍奮闘」とスーパービジョン不在の悲劇

ケアマネという職種の最大のリスクは「属人化(システムではなく、その人の経験や感覚知で業務する事)」です。

日本介護保険専門員協会によると、小規模事業所の約4割がいわゆる「一人ケアマネ」で稼働している

という実態を報告しています。


小回りが利く利点があるものの、実際にスーパービジョン(指導や教育)が受けられず、

完全に自己判断で担当者を支援するという課題があります。

ケアマネの研究には大多数のケアマネがスーパービジョンを受ける必要性を感じつつも、業務中にそのような機械がないという実態報告も上がっています。

[日本介護支援専門員協会ホームページ]

対人援助職の感情労働に関する研究でも、

ケアマネのバーンアウト(燃え尽き症候群)の主要因は「役割葛藤」だとされています

又、支援をする上で、ケアマネに対する担当者のカスタマーハラスメントも多数報告が上がっています。

このように、利用者、家族、サービス事業所、そして行政。

全方向からの相反する要望の板挟みになりながら、誰のスーパービジョンも受けられずに一人で戦っているのが、多くのケアマネの現状です。

地域ケア会議で見える「現状維持プラン」の真実

私は作業療法士として地域ケア会議に参加する中で、

ある特有の構図が常態化しているのを見てきました。

それは、ケアマネの提示するプランが「フォーマルサービスで固めた、現状維持支援」に偏っている事です。

この内容は、決してケアマネを非難しているわけではありません。

このような見え方の背景としては、介護保険の観点で、行政職員も給付の適正化にしりをたたかれている為、

その課題を何とかしようと、フォーマルサービスを見直し、回復に向かうよう指導する為このような
見え方になるのです。


介護給付の限度額サービスで固めてしまうと、その人数が多ければ多いほどその地域にお住まいの方々の介護保険の徴収料が上がる為です。

行政は給付適正化の観点から当然の指摘をしているというわけです。

しかし、これを「ケアマネの勉強不足・リテラシー不足」とみてしまうのは、あまりに浅はかです。

何故ならは、先ほどのケアマネの孤軍奮闘に加え、 「もっとサービスを入れて楽にさせてくれ」という

家族からの強い要望と、「サービスの見直しをしなさい」という

プレッシャーを事業所ではなく、ケアマネ個人で受け止める場面が圧倒的に多いのです。


その板挟み、責任追及型の職務の中で安全策として、「とりあえずサービスを当てはめる」という

現状維持プランが発生しているのだと、私達は構造的に読み解く必要があります。

リハ職はケアマネの戦っているフィールドを学ぶべき

では、私達リハ職に何ができるのか。

実はケアマネにとって単なるそして、偉そうな「リハビリの教示」はいらないのです。

なぜならば、私たちリハ職にとっての担当者は、時間をかけて回復までの支援をしていくという

時間的余裕をリハビリ者=患者という観点で合意が取れている事が大前提です

ですが、ケアマネは困っている担当のケースは「今困っているから今なんとかしてほしい。」

という課題に毎日取り組んでいるので、経過より即効性が欲しく、考え方より答えが欲しいという

思考に至りやすいです。これは、職種の欠点ではなく、取り組んでいる課題の設定がリハ職とでは違い

すぎます。
ここを理解しなければいけません。

私は、地域ケア会議に数年参加し、市町村ごとにケア会議のやり方や雰囲気が全く違うとケアマネに

教えていただいた事があります。

ただ、ケアマネのスタッフはほとんどの方がリハ職に叱責を受けた経験があるのです。

具体的に言うと、「お金の無駄遣い」「勉強が足りない」などの内容を言われているのです。

私はとても恥ずかしい気持ちとリハ職というのは傲慢になってはいけない事をここで勉強しました。

戦う土台が違う職種では、まず相手の業務の仕組みや基礎を把握する事がとても大事です。

ケアマネにとってリハ職はどうあるべきか

ケアマネにとってリハビリの視点でとても、役立つのは、「アセスメント」の視点です。

例えば、転倒によって大腿骨を骨折し、外出しなくなった高齢の方がいるとします。

ケアマネがすることは、訪問看護、デイサービスの手配などの調整を図ってくれます。

ここでリハ職がやる事は、在宅で「廃用予防の体操やストレッチ」などでは、ケアマネの業務改善は

1ミリも図られません。先ほども説明したように、それは、患者の経過を見ているリハ職がやる事です。

ここで私達が出来る事は、その状態のケースのアセスメントをし、「明日からでもできる調整」に変換

する事です。


例えば、外出に行かないのであれば、玄関まで出やすいような間取りの設定と、椅子の配置

や、

食事の栄養素にビタミンをたす為にこの献立を入れて 

など。

一見リハ職からみると間接的なアプローチにみえるかもしれませんが、ケアマネが実践できる

調整案こそが現場で生きるアイデアとなるのです。

ケアマネの次なる創出は、リハ職が一緒に支える態度から始める

ケアマネに必要なのは、ただ「大変ですね」と同情・共感する相手でも、一方的に教示をしてくれる相手ではありません。

自らの専門的知見をもって現状の膠着状態を、論理的なアセスメントで共有してくれる「リハ職」が必要です。

ただ、それと同時にケアマネ側もリハ職がどのような領域まで考えているかを知らない事も多いです。

その為、お互いの倫理観を衝突させるのではなく、ロジカルなアセスメントを提供すること。

これこそがリハ職ができる最大の支援であり、ケアマネにとって、このアセスメントが結果的に、ケースの状態変化に伴う、フォーマルサービスの見直しまでつながります。

介護保険分野におけるケアマネという地域連携のハブを活性化する為に、

私たち自身の専門性を今一度、考え、地域に必要とされているアセスメントにアップグレードする必要があります。

参考資料

WAM NET「ケアマネジャーの仕事ガイド」

居宅介護支援ナビ(沖縄県内の居宅介護支援事業所数データ)

日本介護支援専門員協会(小規模事業所・一人ケアマネの実態およびスーパービジョンの課題に関する報告)

対人援助職の感情労働に関する研究(ケアマネジャーの役割葛藤およびバーンアウトに関する文献)

コメント