最初に思う事
前置きとして、この記事は私の憤りからクライシスプランの悪用をしてほしくないという思いで支援者向けに書いております。
同じてつを踏まないように自分自身注意しないといけないという思いで書きました。
クライシスプランとはこんなツール
クライシスプラン。
このツールは、元来、患者様の体調の確認に使われていました。
最近では、子どもの体調や、言いたい事が言えない子どもの説明書としても活用の方法としてもつかわれる事が出てきています。
このクライシスプランは、名前だけ聞くと、「危険の時に使うプラン」とみられがちですが、
今の使い方は違います。
自分の状態によって、自分はこう思っているんだという事を目で見えるようにする事で周りの支援者に
伝えるという役割に発展しています。
例えば、大人でも、なにか仕事で失敗した時に、「落ち込んでいる」という内容を言えない方もいますよね。
その時に、「慰めてほしい。」「頑張れとその時は言わないでほしい」というツールがあれば、自分で
他者に直接伝える手間が省けます。
端的に言うと、これが最近のクライシスプランです。
このプランは、自分で使える事を主な目的としていますが、上記の内容を自分で伝えるのは、普通難しいです。
ましては、子ども達は大人に伝える事は難しいですよね。
クライシスプランの本当の機能を発揮するのは、ようは使い手次第です!
今回は、支援者が行う、クライシスプラン活用のメリットと、クライシスプランの活用でやってはいけない危険な事について解説します。
クライシスプランについては、別の記事で解説しております。
【精神科クライシスプランの「作り方」をアップデートせよ:管理から権利擁護(CP-J)へ繋ぐ共通言語】
【精神科スタッフ必読】クライシスプラン(CP-J)作成についてOTが解説!陥ってはいけない「管理」の罠と「権利擁護」を入れた「生きたツール」
クライシスプランの「生きたツール」にする作成手順の解説!注意サインの具体的な設定と権利擁護の組み込み方
こちらもご参照ください。
クライシスプランで大事にしている事

クライシスプランとは、文字通り危機介入プランから端を発します。
この概念は、医療観察法といういわば、事件を起こした精神に障害を持つ方が再犯を起こさない為に
事件後に病状を自他共に把握するプランとして、日本では活用してきました。
今日では、リカバリー(回復)のプログラムWRAPでもこのツールは登場し、回復に向かう時に調子が悪くなった時助けてほしいツールとして活用されています。
さらに今はプランは進化していき、使う方の状態を把握するツールではなく、それはもちろんとして、
その時に自分はこうありたい。自分はこうされる事が嫌だという意見を主張ツールにまで発展しています。
これをCP-J(Crisis plan-Japanese Version)と呼称しています。
このクライシスプランに関しては、海外でも権利擁護の観点で、確立されています。(アメリカ・イギリスは特に)
このように一つのツールですが、体調管理というより、意見の主張に重きを置く流れとなっています。
尊厳を守るためのクライシスプランの注意事項

意見を言う事が難しい子どもにとって、複雑な心や体の状態を伝えるのは極めて困難です。
ここでクライシスプランは子どもの主張を本人、支援者ともに共有する形で機能を発揮します。
ただし、クライシスプランを使う際、支援者が陥りやすい注意点が存在します。以下に解説します。
1. 支援者の「症状判定」ではなく、「子どものその時の状態」を確認する

クライシスプランは、子どもの様子を確認する為に使っていいのですが、
クライシスプランの項目を 「死にたいと発言する」という項目にしたとき、それは、危険な事と認識するのは支援者側で捉える事はOKです。
しかし、本人からすると支援者の対処とは別にやってほしい事が必ずあります。
その状態の時にしてほしい事があれば、それを一番の対応にする事です。
例えば、
支援者にとっては、死にたいという発言が項目に設定した時、
支援者が一方的に主治医の診察に繋げる事、薬を盛るという行為に
した場合、子どもの「あなたにせきららにしゃべった」という希望が一瞬で死にます。
業務や建て前による一方的な整理は子どもの未来を殺します。
クライシスプランの色ごとの項目はあくまで症状の目安ですが、子どもにとっては一つ一つが支援者への叫びです。
項目をただの症状として黙殺するのではなく、その時どうしてほしいかを本人と徹底的に語る事が重要です。
2. 尋問にならない為のツールにする

イライラした時にリストカットなどの自傷行為防止の為にクライシスプランを導入する事がしばしばみられますが、
クライシスプランの内容確認を無理強いするのはやめた方がいいです。
なぜならば、そもそも自傷行為をする子ども達は、自分の気持ちを言葉にできない為に自分の体で表現しています。
クライシスプランがたとえ、気持ちを見えるようにしても、その時ことばや声で出したくない時に、
クライシスプランの項目確認は、子どもにとって一方的な「どんな状況だろうが、今状態を話せ」
という支援者の暗黙の強烈な命令です。逆効果です。
これでは、クライシスプランを二度と使わなくなります。クライシスプランという名の尋問です。
子どもにとって、表現できないのは、言葉が思いつかないと同時に話したくないけど、どうにかしたい
という二つの気持ちがあります。
それをプランを使って、「今どんな気持ち?黙っててもわからないよ。」
という誘導は、勝手な大人の都合です。
なので、言葉を見えるようにするクライシスプランも大事ですが、本当に黄色や赤の時に、
絵で自分を表現できるような指さすだけでわかる状態を察するツールも作っておくことがおすすめです。
3. いっそ支援者にとっての「管理プラン」と子どもにとっての「話せるプラン」を明確に分ける

それでも、もし、支援者側が医療観察法的なリスク管理を手放せないのなら、
いっそプランを2階建てにします。
何故ならば、クライシスプランはその人にとってのトリセツであり、意見書なのです。
つまり、 病棟が運用する「危機介入レベルの基準」が必要であれば、支援者用に作成し、
子どもとの会話ツールとして展開するのであれば、
「日常の不安をどう話していきましょうか?プラン」を並行して走らせます。
まずは小さな安全基地の中で、「自分の意思が尊重され、望む支援が得られた」という成功体験を
積み重ねることが、消滅しかけた意思表示を復活させる唯一の道です。
注意事項を全てやぶったらこうなる。ダブルバインドによる子ども統制
こんな子どものエピソードを知人から聞いた事があります。
先に言いますが、この内容を思い出す度、私の経験ではないですが、とても憤りを感じています。

言葉を表現しにくく、優しい支援者を見つけては、その人にひっつく子ども。
この子は、つらい事が表現しにくく、自傷行為を繰り返す。
そんな子でした。
そこでクライシスプランが導入されました。
黄色部分に、自傷行為があればお部屋で静養とだけ対処が書かれており、
この子は静養すると自分の自由が奪われると思い、ずっと青と答えていました。
しかし、表現がしにくい為、自傷行為は続きます。
今度は、それを見かねた支援者が「自傷行為が続いているのに何で青なの?本当の事を話したら?」
そういわれると、この子は黄色と言い、お部屋で静養になりました。
後日、この子はクライシスプランを見るだけで逃げるようになりました。
ある日別の支援者に「あれ(クライシスプラン)が来たら、怒られる」
それを泣きながらまた別の日、他の支援者にこの子が懇願しました。
結局、クライシスプランの導入が中止となりました。
後に残ったのは、
子どもにとってクライシスプランは怖い物
支援者にとって使えないツール。
です。
改めて、クライシスプランの活用を振り返る
結局、この子にとってのクライシスプランはどの選択をしても罰になる。
いわばダブルバインドです。
クライシスプランは、今や単なる病状管理シートでありません。
まして、それを子どもにそのまま活用するのは、子どもにとって 【害】 そのものです。
わたしは、クライシスプランの活用を見直す機会に巡り合えたとこの子の体験でおもいました。
子どもの尊厳を守れるツールとして、真の機能性を持ったクライシスプランを活用したいと思います。
支援者の立場から対応を考える

もし、それでも、支援者が「そんな建て前を話されても忙しいんだけど」
という問いに立ったのなら、それは支援者側も安全という名の倫理にむしばまれた
ダブルバインドに陥っていると思います。
これは、業務に従事している以上、必然の感覚です。否定はしません。
ですが、その視点に立ったのなら、
クライシスプラン活用で、子どもを統制した結果、自傷行為の頻発、さらなる不穏が発生した時の
対応にかかる時間、対応回数の多さと
クライシスプランを活用して、会話をする回数の多さ、それによる安定時間の長さ
どちらがコスパが良いか図ってみてもいいと思います。
子どもの支援をする支援者が、
子どもの支援をコスパで見る視点があるならば、いっそ「安全」という名の元に
しゃくしじょうぎで子どもをみる事による
その対応を費やす時間の浪費をやめる事も支援者自身の心の安定に繋がるかもしれません。
クライシスプランについては、別の記事で解説しております。
【精神科クライシスプランの「作り方」をアップデートせよ:管理から権利擁護(CP-J)へ繋ぐ共通言語】
【精神科スタッフ必読】クライシスプラン(CP-J)作成についてOTが解説!陥ってはいけない「管理」の罠と「権利擁護」を入れた「生きたツール」
クライシスプランの「生きたツール」にする作成手順の解説!注意サインの具体的な設定と権利擁護の組み込み方
こちらもご参照ください。



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