注意すると怒る・逃げる子ども。実は自分のペースを保っている?怒る子どもの「他害」をなくす作業療法アプローチ

児童発達関連

学校や遊び場、学童などで回りのペースに合わせきれずついつい自分の遊びから離れられない子どもを観たことがありますか?

みんなで片付けをしていたのに、片付けしているのに、その遊具を逆に出して笑っている。

やがて、友達や先生から注意を受け、怒ってしまう。

はたまた仕返しのように先生や友達に向かって物を投げようとする子ども。

その行動についてまた叱られてしまう。

この場面は一見この子のわがままや身勝手な行動に見えてしまいますが、実は目には見えない

体のコントロールが関わっている可能性があります。

今回は注意すると怒る・逃げる子どもについて体の中でどういった事が起きているか解説します。

なぜ、怒ってしまうのか?

切り替えができず、続けてしまう

冒頭でお話しましたように、私が出会った子の場合では、

みんなが片付けしている最中にこの子はその道具を使う遊びがとても気に入ってました。

実際にはカラーボールをラケットで連続で叩くという遊びを導入しており、

この子はとてもその遊びが気に入っておりました。

「もう一回やるー」と言いながら笑顔で遊びを要求しております。もう一回やるには

ボールを集めなければいけません。そこで一度子ども達全員でボールを集める工程を入れました。

するとこの子は「もう一回やるー」と言い、みんなが入れたボールを取り出し、一人でに遊びを続けました。

そこで叱られ、怒ってしまった。というわけです。

このように本人は遊びたいのに、周りが切り替えているのを受け入れられるタイミングではなかったという現象が起きています。

注意するというとっさの危機に反応している

強いストレスを感じた瞬間、人は「逃げる」か「戦う」かの反応(fight-or-flight)を、理性より先に身体が選んでしまうことがあります。

これは意志の弱さではなく、危機を感じたときの身体の自然な反応だと言われています。

「注意すると怒る・逃げる」という行動の背景に、この反射的な反応が関わっているのではないか、

という予測を前提に置くことが大事です。

悪態や手が出る行動が、その子にとっての精一杯の伝達手段になっていることがある

言葉で状況を説明する余裕がない瞬間、悪態や手が出てしまうことがその子にとって

唯一使える伝達手段になっているケースに、現場で何度も出会ってきました

「わざと困らせている」のではなく、「他にうまく伝える方法が今は見つからない」状態なのではないか、という視点です。

これは断定できる話ではなく、あくまで臨床上の実感としてお伝えします。

言葉の指摘の手前に、見落とされがちな視点がある

先ほどの3つの視点を説明したように、このような起こる子どもにとっては、注意や声掛けなどは

上手く機能しません。

説明や声かけの工夫に加えて、姿勢や眼球の使い方という視点を追加することで、

支援の幅が広がることがあります。

心の問題を否定するものではなく、身体的な負荷という、もう一つの角度です。

体幹の弱さが引き起こす負荷

姿勢を保つこと自体に大きな労力を使っている子どもは、

その分だけ「話を聞く」「気持ちを切り替える」ための余力が少なくなっているのではないか、

と臨床の中で感じてきました。

椅子に座り続ける。その動作を続ける事が、大人が想像する以上にその子にとって負担になっている可能性があります。

切り替えが難しい、話を聞くのが難しい子は支援者や親御さんが視点を変えてみて姿勢はどうか、

体のバランスをとるのはどうかなど、観察する所からみてもいいと思います。

姿勢関連の記事は別で紹介しております。以下をご参照ください。
子どもの姿勢崩れにはタイプがある?現役OTが解説!「感覚タイプ別」アプローチ – 沖縄作業療法士パパブログ

視覚を使う課題で、疲れがたまりやすい子がいる

ボールをうまく受け取れない、文字を目で追うのが苦手。

こうした不器用さの背景に、視覚からの情報処理に時間や労力がかかる特性が関わっていることがあります。

視覚課題が続く時間帯に他害が増える傾向がある子には、この視点が参考になるかもしれません。

実は先ほど紹介した子どもも、カラーボールをラケットで連続で叩くという遊びでした。

これは次々に飛んでくるカラーボールに視点を切り替えるという視覚課題になります。

また、何度も切り替えるという負担度も高い要素が求められる為、楽しいと感じてはいましたが、

切り替えが難しかった可能性があります。

「遊びへの没頭」は、自分を落ち着かせる手段であることがある

特定の遊びに強くのめり込む様子は、単なる好みだけでなく、その子なりに自分を落ち着かせる方法

になっている場合があります。

無理に切り上げさせるより、その意味を理解した上で関わり方を考える方が、

結果的に他害の頻度が下がったケースを見てきました。


【実践】言葉の指摘に加えて、環境の調整を試してみる

臨床の中で感じてきたこと

私はこの遊びに没頭した子どもに対して

「やっててもいいけど、次に進めないよ。どうする?始めなくていいの?」

という声掛けをしていました。その子の行動にレッテルを貼るような声掛けはしない努めましたが、

結果的にこの声掛けはあなたがそうしているから周りに迷惑をかけているのようなニュアンスを伝えてしまっていたと思います。

注意すると怒ってしまう子どもは実は、

落ち着かせる維持と共にこの訓練に対するやる気の維持も行っているのです。

私の注意は子どものやる気ごと削ぐ危険な介入だという教訓になりました。

やる気を削ぐ→自信がなくなる→社会(学校)への期待が薄れる→自暴自棄になる

この悪循環に陥る可能性がある為、注意が必要です。

子ども本人の好きな活動は周りとあえて競わせる

特定の遊びに没頭する子どもは得意なものであればあえて優劣のつくルール設定をします。

先ほどのカラーボールの遊びに関しては、あえてこの子の順番と他者の順番を作る事で合間の片付け

という工程と切り替えるという工程を自然発生し、柔軟な対応が出来るよう設定します。


もちろん他の子どもがいなければスタッフや親御さんの出番を挟みます。

得意であれば必ずこの子が勝つことができますので自信にもなります。

視覚的な課題の合間に、身体を動かす時間を挟む

文字や図を目で追う課題が続いた後に、他害が増える傾向が見られる場合、

課題の合間に身体を動かす短い時間(固有受容覚を使う活動)を挟むことで、

落ち着きを取り戻しやすくなったケースがあります。


まとめ:問題行動の背景に、身体からの声があるかもしれない

普段怒ってしまう子どもはその手前に「この子の身体は今、指示を受け取れる状態だろうか」という

視点を一つ加えてみてください。

心の問題として一括りにする前に、身体という切り口から見えてくるものがあります。

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