最初にお伝えします。この記事は医学的検査の代わりにはなりません。
中学生の失禁・夜尿は、まず泌尿器科・小児科での評価が優先されるべきものです。
すでに検査を受け、器質的な異常が見当たらないと言われた
それでも改善しない、というご家庭に向けて、感覚処理という別の切り口をお伝えします。
なぜ「好きなこと」をしている時だけ失禁するのか?

「わざとサボっているんじゃないか」。正直に言うと、私自身も現場でそう感じかけたことがあります。
でも、脳の感覚処理という視点で見ると、まったく違う説明ができるケースがあります。
膀胱の異常ではない。「脳が尿意を無視」している状態

検査で異常が見つからないのに漏れる、というケースの一部には、
膀胱そのものではなく、膀胱からの信号を脳がうまく優先度高く処理できていない状態
が関わっているのではないか、というのが現場での見立てです。
これは怠けでも、しつけの問題でもありません。あくまで臨床上の実感であり、
断定できる話ではないことは強調しておきます。
勉強中はトイレに行けるのに、ゲーム中は漏らす理由(感覚のマスキング現象)

強い集中状態にあるとき、他の感覚情報が”背景に追いやられる”ことがあります。
ゲームのような強い刺激と報酬が連続する活動中は、この傾向がより強く出やすいのではないか、と臨床の中で感じてきました。
「好きなことだから漏らす」のではなく、
「好きなことに脳のリソースが集中しすぎて、身体のサインが後回しになる」そう捉え直すと、
見え方が変わってきます。
【現場のリアル】間違った対応が失禁を悪化させることがある
アラーム療法や「時間を決めてトイレに行く」がうまくいかないケース

時間排尿やアラームは有効な手法ですが、感覚のマスキングが強いお子さんの場合、
そもそも「決まった時間に尿意を感じているか」を本人が自覚できていないことがあり、
方法自体が噛み合わないケースに接することがあります。
効果が出ないとき、方法を変える前に「本人の感覚の受け取り方」に目を向ける価値はあると思います。
リハビリパンツの常用について

リハビリパンツは、失禁による自尊心の傷つきを防ぐ大切な選択肢です。
その上で、私が臨床で気になってきたのは、「漏れても不快でない」状態が続くと、
身体のサインへの気づきそのものの機会が減ってしまうのではないかという点です。
これは私の臨床上の仮説であり、医学的に確立された知見ではありません。
使用をやめることを推奨するものではなく、併用しながら気づきの機会をどう作るか、という
視点として捉えていただければと思います。
精神科作業療法士が考える、3つのアプローチ

これから紹介するのは治療ではなく、日常の中でできる工夫です。
ステップ1:テレビゲームと「感覚入力」のタスクを分ける(儀式の導入)

遊びを始める前に、決まった短い行動(トイレに行く、一口水を飲む)
を”儀式”として挟むことで、感覚の切り替えのきっかけを作る、という工夫を試したご家庭がありました。
効果を保証するものではありませんが、試す価値のある小さな工夫の一つです。
ステップ2:ゲームのルールに「尿意の確認」を組み込む

ステージクリアのタイミングなど、本人が受け入れやすい区切りに「トイレチェック」を組み込む、
という工夫です。
強制ではなく、本人と一緒にルールを決める過程そのものが、感覚への意識づけにつながると感じています。
ステップ3:安全な環境で、身体のサインに気づく機会を少しずつ増やす

これは「失敗させて学ばせる」という意味ではありません。
むしろ逆で、失敗しても責められない安全な環境を作った上で、
本人が自分の身体の感覚に意識を向ける機会を、焦らず少しずつ増やしていく、という考え方です。
恥をかかせる、不快感を与える、といった方法は自尊心を傷つけ逆効果になりやすいというのが現場の実感であり、避けるべきだと考えています。

まとめ:適切な評価があれば、解決の糸口は必ず見つかる

まず医療的な評価を受けること、その上で改善が緩やかな場合には、
感覚処理という視点を一つの選択肢として持っておくこと。
この二つは対立するものではありません。お子さんを「わざと」と疑う前に、少しだけ違う見方を試してみてください。



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