保育園で「いい子」な4歳児が夜驚症!親がやってはいけないNG対応

児童発達関連

この記事の要約

園でトラブルがない子ほど、家で爆発するのか?

「保育園ではいつもお利口さんですよ」「お友達とも仲良く遊んでいます」 お迎えの時に保育士さんからこう言われると、親としてはホッとしますよね。

しかし、その一方で「夜泣きや癇癪がひどい」「友達にやめてと言えない」と悩んでいませんか?

実は、「外でトラブルを起こさない子」ほど、家庭内で爆発しやすいという明確な理由があります。

今回は、児童精神科等の臨床現場で15年、

数多くの子供たちと向き合ってきた作業療法士の視点から、そのメカニズムと家庭でできる具体的な環境設定について解説します。

「やめて」と言えない。4歳児なりの高度な空気読みと過剰適応

子供が保育園で「やめて」と言えないのには、深い理由があります。

単に気が弱いからではありません。

例えば、周りのお友達がとても楽しそうに遊んでいる場面で、自分が「やめて」と言って遊びを止めて

しまったらダメだ、と子供なりに空気を読んでいるケースが多々あります。

これは、他者の感情や状況を推し量る力が発達してきた証拠でもあります。

しかし、自分の本当の気持ち(不快感や疲労)を抑え込み、

周囲の期待や環境に無理に合わせようとする状態
は、心理学や医療の現場では「過剰適応」と呼ばれます。

4歳の小さな心と身体は、大人が想像する以上に、社会の中で必死に戦っているのです。

夜泣きやパニックは、日中の葛藤を処理する「脳の整理整頓」

日中、過剰適応によって抑え込まれた感情やストレスはどうなるのでしょうか?

実は、消えてなくなるわけではありません。

発達途中な脳は、睡眠中や、安心できる家庭という空間に戻ってきた時に、

その日の出来事の情報や葛藤を必死に処理しようとします。

夜中の突然のパニック(夜驚症など)や、帰宅後の理不尽な癇癪は、

親を困らせようとしているのではなく、容量オーバーになった脳が「整理整頓」を行っている状態です。

つまり、家で爆発できるのは、そこが彼らにとって感情を吐き出せる安全な場所であるという裏返しでもあります。

親の「気にしなくていいよ」が奪う、子供の自己解決能力

子供が「〇〇くんに嫌なことされた」と打ち明けてきた時、つい大人の都合で対応していませんか?

【15年の臨床現場から】先回りの声かけがもたらすリスク

「そっか、〇〇くんは遊びたかっただけだよ。気にしなくていいよ」

親としては、早く子供を安心させて(あるいは早く寝かせたくて)、つい先回りして解決しようとします。

しかし、私自身も陥りやすい危険な事実をお伝えします。

この「気にしなくていいよ」という大人の先回りは、

子どもが話してくれた現実の受け止め大人の考えで上書きしている状態です。

何気ない先回りは、子供が自分の感情(不快感や怒り)を正しく認識する機会や、

自分なりに折り合いをつける「自己解決能力」の成長を止めます。

自分の感情にフタをすることを学習した子供は、ますます過剰適応を深めていきます。

幼児期の「見えないストレス」を学童期に持ち越さないために

幼児期の過剰適応による「見えないストレス」を放置すると、

小学生以降になって頭痛や腹痛などの身体症状(心身症)として現れたり、突然の不登校という形で限界を迎えたりすることがあります。

精神論で「強くしなきゃ」とプレッシャーをかけるのではなく、今のうちから「ストレスを安全に抜く仕組み」を家庭内に作ることが重要です。

子供の内なる戦いを「見守る」ための3つの環境設定

親自身も日々仕事や家事に追われ、子供の心にじっくり寄り添う余裕がない時もあります。

だからこそ、親の「心(精神論)」に頼るのではなく、「物理的な環境」で子供の脳をクールダウンさせる工夫が必要です。

作業療法士が実践する、家庭を「安全基地」にする具体的な関わり方

作業療法士の視点から、日中の過剰な刺激をリセットする3つの環境設定を提案します。

  1. 感覚の引き算(視覚・聴覚のクールダウン空間)

    保育園は音や光、人間関係の刺激で溢れています。

    帰宅後は好きなyoutubeを見る事も子どもにとっては必要ですが、照明を落とし、

    歌詞のない音だけの優しい音楽をかけたりなど。

    就寝時間を少しでも早めてベッドやお布団の場所で親と一緒に過ごす時間を今よりも

    多く作ってみるといいかもです。


  2. 「こどもから語られることば」にただ耳を傾ける

    子供が愚痴をこぼした時、ただ、耳を傾けてみてください。

    「嫌だったね」「悲しかったんだね」と、ただ感情をオウム返し(ミラーリング)するだけで構いません。

    どうしてもここで、親の感想を言ってしまいたくなります。私がそうです。

    それが先回りになるので気を付けてください。

    「言いたい事はわかるけど、実際どうやるのかわからない」という親御さんの意見を多数

    もらいますが、語りを聞く時は、子どもが考えている事を「そうだったんだね」と聞き返すだけの

    方がいいです。

    解決しなくていいので、「自分のネガティブな感情を認識してもらう」経験だけ語ってもらいます。
  3. 固有受容覚へのアプローチ(深い圧迫)

    寝る前に体も心も落ち着かせる為に、「固有受容覚(筋肉や関節で感じる感覚)」へのアプローチがリラックス効果に役立ちます。

    パニックになっている時や寝る前は、ギュッと強めに抱きしめたり、少し重ための布団をかけたりして、「深い圧迫刺激」を与えてみてください。

    神経系が落ち着きやすくなります。

完璧な親である必要はありません。子供の「過剰適応」というサインに気づけただけで、支援の第一歩は踏み出せています。知識を武器にして、少しずつ家庭の環境を整えていきましょう。

【感覚統合に基づいた「自宅でできる遊び」については、こちらの記事でさらに詳しく解説していますこちらもご参照ください。】
体を整える為に超重要!?感覚3種類①触覚・固有受容覚(体性感覚)編 – 沖縄作業療法士パパブログ
体を整えるのに超重要!?感覚3種類②前庭感覚編 – 沖縄作業療法士パパブログ

参考文献

日本睡眠学会 診断分類委員会(訳)(2018)『睡眠障害国際分類 第3版(ICSD-3)』医学書院

A. Jean Ayres(著)土田玲子 他(訳)(2019)『感覚統合Q&A(増補改訂版)』協同医書出版社

厚生労働省(2018)『未就学児の睡眠指針』

エレイン・N・アーロン(著)明橋大二(訳)(2015)『ひといちばい敏感な子』1万年堂出版

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